ビデオ会議は映像を使ってコミュニケーションが取れる便利なツールですが、使い勝手が悪いとそのまま埃をかぶってしまう、ということになりがちです。前回、 Cisco Multiparty という新しい多地点接続装置ライセンスの考え方をご紹介しました。今回は、そのライセンスをフルに活用し、簡単に複数拠点の「会議」を開催する方法をお伝えします。
さて、すでにビデオ会議システムをお使いの方に質問です。
札幌、東京、大阪の 3 地点のビデオ会議を開催することになりました。この会議を主催するあなたは、次のどの方法で会議をセットしますか?
- ビデオ会議担当者にセットアップをお願いする
- 社内にある Web 上のスケジューラを使って「予約」する
- Outlook を使って会議室を「予約」する
どの方法をとったにしろ、直接会って話すよりも面倒であることには変わりありません。
シスコの TelePresence の場合、4 つのビデオ会議開催オプションがあります。
- 予約会議
- ランデブー会議
- アドホック会議
- パーソナル CMR
予約会議
先ほどの会議の開催方法は、いずれも「予約会議」に分類できます。何らかの方法で事前にリソースを予約し、参加者数が事前にわかる方式です。
前回ご説明したように、多くのビデオ会議システムは「同時接続数」のライセンスになっているため、接続数が上限を超えないようにビデオ会議担当者が参加者数をモニターあるいはコントロールしなければならないのです。しかし、新しいライセンス体系「Cisco Multiparty」でこの問題は解決できます。1会議あたりの参加者数にはライセンスとしての制限がないので、ハードウェアのリソース分だけ会議を開催できます。
アドホック会議
Cisco Jabber のようなソフトウェア クライアントでチャットをしているとき、そこから会議室のビデオ端末も含む「会議」を急遽開催する時や、ビデオ会議同士で通話中に Cisco Jabber や他の会議室を呼び出す必要があった時に利用する会議方式です。オフィス電話機の会議機能に相当します。
まず1対1でビデオ通話を開始したとしましょう。
通話中に「追加」ボタンを押し、電話帳から呼び出し先を選択します。
呼び出し先が応答したら、今都合が良いかどうか確認し、通話を 1対1 から会議にします。
3 地点でのビデオ会議に「昇格」します。ちなみに会議から参加者が抜けて 1対1 の通話に戻った時は、多地点接続装置のリソースは解放され、メディアは端末間直接の通話になります。
アドホック会議はシンプルな構成で構築可能です。Cisco Unified Communications Manager が Active Directory(AD)と連携し、会議主催者端末が AD ユーザに紐付いている場合(GUID [Globally Unique Identifier] がある場合)は Personal Multiparty(PMP)ライセンス、紐付いていない会議室端末の場合は Shared Multiparty(SMP)ライセンスが利用されます。
パーソナル CMR 会議
電子メールのメールボックスが自分専用に確保されているように、自分専用のビデオ会議室が用意されている感覚で利用できるのが パーソナル Collaboration Meeting Room(CMR)です。
例えば、会社の電子メールアドレスが userid@example.com の形式だったら、ビデオ会議のアドレスは userid.join@example.com のように取り決めます。会議の主催者はいつも自分の「アドレス」を覚えているので、社内のスケジューラに ビデオ会議: userid.join@example.com と一言加えるだけで、遠方の拠点や、個人席の Cisco Jabber など様々な端末から簡単に会議に参加できます。
個人専用のアドレスは、展開の段階で割り当てられます。
個人専用のアドレスに会議室の端末から参加者として、あるいは主催者専用暗証番号を入れることで主催者として参加します。
デスクトップ型のビデオ端末や Cisco Jabber などのソフトフォンなど、さまざまな端末から会議に簡単に参加できます。
パーソナル CMR では、 ユーザ専用のビデオ会議アドレスを展開するための Cisco TelePresence Management Suite (TMS)が必要になります。
ライセンスが Shared Multiparty なのか Personal Multiparty なのかは TMS 上で選択可能です。
まとめ
コミュニケーションは、思い立った時にスタートすると時間を無駄にしません。必要なときに即座に携帯電話に電話をするのと同じように、ビデオのコミュニケーションもよりアドホックに、利用しやすい方法で、アシスタント無しにスタートできます。それに新しいライセンス体型では、1会議あたりの参加者数がライセンスを満たすかどうかを気にする必要がありません。
説明を省いていますが、PMP / SMP は関連するインフラ側のライセンスも含みます。
今回は Partner Solution Update (PSU) Week 2015 November 11月26日 [Col-2] シスコの新しい多地点接続会議の構成と動作概要 を流用させていただきました。安田さん、いつもありがとうございます。
参考情報
- Partner Solution Update (PSU) Week 2015 November
- Cisco Project Workplace – Experience [英語]
- Cisco Collaboration Meeting Rooms(1) :遠隔地に散らばるメンバーを 1 つの“会議室”に招集